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『SP』VIPと犯人がショボい

テレビドラマを映画的につくるというのはかなり難しいことのようで、単発ならまだしも連続ドラマではあまり成功例はありません。
たとえば『海猿』、映画・テレビドラマ・映画パート2と同じテイストで作りましたけど、映画は大ヒットしたにもかかわらずドラマ版は視聴率低迷。

『SP』も総監督が『踊る大捜査線』の本広克行だけに映画的な雰囲気がありますが、テレビドラマとしてもかなり成立しています。さすが本広監督というべきでしょうか。

しかしその一方、問題もあります。まずSPに警護されるVIPのキャストが貧弱。第一回は女性東京都知事役が大場久美子、ちょっと迫力不足。も戸田恵子あたりが演じる役でしょう、おなじ元アイドルでも。そして第2回からは元総理役で露木茂。どうしても元アナウンサーにしかみえません。知名度なくてもいいから押し出しのある助演俳優にしてほしかった。
対する犯人もショボい。第1回は都知事にバカにされたことが動機の新聞記者のぼっちゃん。第2回からはプロぽくなったと思ったら「われわれテロリスト」と自分たちのことをテロリストというヘンなやつらだった。
しかもいまのところ政治目的じゃなく身代金目的みたい。ウィキペディアによるとテロリズムとは「般に恐怖心を引き起こすことにより、特定の政治的目的を達成しようとする組織的暴力行為、またはその手段を指す」そうだから、政治的目的じゃないとおかしいんじゃない?
それに身代金3億円というのも、あれだけ人がいて一人当たりで考えるとリスクと比較したリターンが少ないような。株取引を入れているからレバレッジして何倍かに増えるのかもしれないけど。株取引を利用した身代金引き渡しは『アンフェア』がうまくつかっていました。

もしかしたらそのショボさが、映画的でありながらテレビドラマらしく見える理由かもしれない。そうだとしたら哀しい……

『オトコの子育て』ハデさがなくて何が悪い!?

高橋克典とこの制作スタッフは『特命係長只野仁』+『アットホームダッド』『結婚できない男』だから、これらの要素を合わせ持ったドラマになると予想していましたが、まさにその通りでした。ストーリーだけ聞いているとよくあるホームコメディなんだけど、見るとなんとなくおかしい。

高橋克典演じる父親・健太郎がいいかげんな性格で、その言動が現代の教育のアンチテーゼになるというのが毎回のパターン。第3話は学歴に意味はないんだから勉強しなくてもいい?という定番パターン。
長男に健太郎と弥生(国仲涼子)がキロとキログラムと単位が入り交じった計算を例を出して教えるのに、

「このお姉さんの体重が48キロだとする」
「そんなにありません!」
「例えだろ!」
「例えにしたって重すぎです」
「じゃあ何キロ?!」
「こないだ計った時には42.3キロで、でもここんとこダイエットしてるから1キロは減っているかな、でもマリちゃんと焼肉食べちゃったから……」
「このお姉さんの体重は42キロだとする。いま焼肉を500グラム食べたとする」
「そんなに食べません!」
「だから例えだって。さてお姉さんはどうなる?」

と掛け合いだけでなんかおかしい。

そしてこの問題に対する長男の回答「おなかいっぱいになる」、すばらしい!設問が「どうなる」だから体重のことは聞いてないから正解だな。

視聴率8%台と低迷していますが、もうちょっとあってもいいんじゃないでしょうか。裏のフジ系と日テレ系が人気映画をバンバン放送しているとはいえ。

『ジョシデカ!』打倒アンフェア?

2時間ドラマみたいに(仲間由紀恵、泉ピン子、リュ・シウォンを除くキャスティングからのイメージ、女王・片平なぎさはいるし)お気楽な展開かと思ってたら事件は謎の数字を残す連続殺人、冒頭にヒロインが1ヶ月後に撃たれることを見せる、初回ヒロインの活躍で助かった女性が最後に連続殺人の被害者になるなど意外にハードな展開。ただ仲間・泉コンビに期待されるのはコメディ。意外にシリアスな展開でちょっと違和感があります。
要は『アンフェア』みたいなのがつくりたかったんでしょうかね。仲間由紀恵が『ハケンの品格』のヒットで篠原涼子にドラマ女王の座を奪われたからなのか、『アンフェア』の原作者が脚本を書いているからなのか?
メインとなる連続殺人が興味を引く展開になればおもしろくなるんでしょうが、あんまり進展しないので盛り上がりません。
シリアス路線に進んで展開ややこしくなると若い層はよろこぶけどおばちゃん層は離れるという二律背反も抱えているし、シリアスとコメディのどっちつかずという感じ。

『有閑倶楽部』まず赤西仁主演ありき

「ゴージャスに事件を解決」というのがウリなんだけどいろいろなところが安っぽく、さっぱりそうは見えません。たとえば学校は外見はスコットランドから移築したロックハート城でロケしてるからそれらしく見えますが、中に入るとセットが「さんま愛の説教部屋」に見えてしまいます。あの環境で、それにあの演技で「有閑倶楽部」の面々が集まっても金持ちの子女というより変な高校生の集まり。
ストーリーももっと金を「そんなバカな」というくらいとんでもない使い方をして解決、というものにしてほしいところ。

問題はまずまず赤西仁ありき(他は原作キャラに似せようとしているのに彼だけ普通に赤西キャラ)でドラマをつくっているから無理があります。第2話は原作では主役の剣菱悠理メインで1話よりよかったので、やはり原作通りに破天荒に中央突破させてその周りで他の5人が活躍するという構成の方が赤西仁も生きるでしょう。『花より男子』は井上真央主演で嵐・松本潤が相手役で成功したし。

これまでドラマではあまり目立つ役はなかった美波がなんとか一人ではじけまくりキャラ立ちしてもうけ役なのがかろうじて収穫というところか。

『暴れん坊ママ』暴れないぞ

平和な家庭に予期せぬ同居人があらわれる定番パターンのホームコメディ、それも夜の連ドラというよりは昼ドラ。大和田伸也、岡江久美子(大和田ファミリー)を見ていると特に。ただ『暴れん坊ママ』なのに暴れる機会がなくしゃべり方が汚いだけで、看板に偽りありという感じ。

上戸彩のキャラは『アテンションプリーズ』の美咲洋子とほとんど同じで設定が違うだけ。している通り「暴れん坊」なんだろうけど初回は言葉使いが目立つぐらいであまり暴れず。キメは各回の最後に上戸彩のヘンな顔で終わるところみたいだけど、タンカを切る時の決めゼリフがほしい。「ざけんなよ」(by井上真央)みたいな。

幼稚園とママと本格的に戦ってそれで爽快感がないと、バタバタしているだけであまりおもしろくありません。おなじみの天パーなど大泉洋の小ネタや父親役の大和田伸也のオーバーな演技がかろうじて楽しみというところ。雰囲気は『アテンションプリーズ』と同じなのでティーン向けであり、大人向けにはちょっと。

『ハタチの恋人』うれしいのはさんまだけ

と見ていました。ところが初回の冒頭にナレーションで主演の二人のことを長々と説明しだしたので感じた不安は的中。なかなか出会わず、接近遭遇は56分後。井上圭祐(さんま)が若い頃の恋愛を語る「恋愛三部作」も長くてくどい。あれを聞かせようと思ったら『男女七人』からさんま・しのぶの実際の結婚までをイメージさせるようなエピソードじゃないと。初収穫は恋愛小説作家を演じる市村正親のキャラの意外性ぐらい。

こないだ『ガンジス河でバタフライ』で宮藤官九郎脚本にもまれてインドで修行してきた長澤まさみ、一皮むけたかと思ったら相変わらずのブリッコ演技。オヤジ相手ならそれもいい。しかし就職のためにオヤジ殺しを仕掛けたのを男友だち(塚本高史)に「そこでわたしの良心がチクっと痛んだわけ」と言い訳をかましながら報告するのも同じ調子。もっと表裏の顔を変えてほしい。だいたい報告するなら普通、本音を話せる女友だちでしょう。ブリッコすぎて女友だちいないのか?

どうみても昔の恋人は母親役の小泉今日子(20年前、長澤まさみに似ていたとはとても思えないけど)、ほとんど展開は見えてて意外なことは起こりそうにありません(安心して見てはいられますが)。二人の掛け合い漫才になればおもしろくなるでしょうけど、なかなかそこまでいきそうにありません。

『ドリーム・アゲイン』ある意味、伝説になるかも

これはすごい。すごくドラマになってない。読売巨人軍の全面協力により巨人−広島戦に主人公(反町隆史)が出演するところから始まったけど、実際に反町と共演したはずの特別出演・原監督がなぜか合成ぽく見えるチープさ。反町のスイングもプロにはみえない(やはりクビになった野球選手役のフジテレビ『ワンダフルライフ』の時にはあんまり野球するところを見せなかったな……)。

スタート前から『天国からきたチャンピオン』ではないかといわれていました。それならそれでそのまんまにすればいいものを、死んだ理由が「天国省」が名前の読み方を間違えたためとか、乗り移った体が非情なファンド会社社長など妙に時事要素を盛り込んだり、児玉清の「アタック」セルフパロディ(ちゃんとした俳優なんだから、仕事を選んでください!)とか、志田未来演じるあやしい隠し子など変な要素を盛り込みすぎ。
ファンタジー的な設定は丁寧につくらないと嘘くさくなるんですが、これではすべてが嘘くさくなってしまいます。全体のトーンが統一しているといえなくはないですけど。

加藤あいはきれいだけど演技はうまいほうでなく主人公の死を悲しむ婚約者はともかく職業が人権派弁護士というのは大丈夫か?それ以上に大丈夫かはファンド会社秘書役の青田典子。負け犬か裏をかいて幸せな結婚をしているかのどちらかにしてほしいな。演技面で実績のある頼みの『14才の母』志田未来は自称隠し子で主人公に「週刊誌に売りますよ」と養育を迫り「野球をめざすから金を出しても面倒は見れない」といわれて「そんなばかばかしいウソで追い出そうとするなんて!」と怒ったフリをして陰で笑ってるかわいげのないキャラ。折角だから家の前でで歌っていたという「捨て子の唄」も実際に歌ってほしかった。
しかし女優陣で一番目立っているのは家政婦を演じる瀬川瑛子。本人はスローペースの癒し系おばさんなのに、ぼんぼん本音をいう『家政婦は見た!』キャラを演じるというミスマッチで他の出演者を完全に食ってます。

ここまでくると中途半端にまとめてほしくはないですね。とことんこの路線に突き進んででほしい。そうすればツッコミをいれながら見ることができます。最後まで見とおすことができたら、後にジマンできるかもしれません。

『医龍2』手術エンターテイメント

スペシャル版の第一話は難手術の三元中継で大いに盛り上がりましたが、病院再建話がメインになった二話はストーリーに無理が感じられてイマイチ。どうもドキュメント『神の手をもつ外科医』的に手術がポイントのようです。いつも手術ばかりしているばかりにもいかず、そこまで持って行くストーリーが重要ですが、外資ファンドをなんでもかんでも悪者にしてしまうパターンも飽きました。NHK『ハゲタカ』と同じ脚本家が書いているわりにはあまりに単純。

新加入の内田有紀はつかこうへいの芝居を修行してから演技力が向上しましたが、外資ファンドの大物役というのはさすがに説得力に欠けます。せめて設定だけでも日系アメリカ人にするとかしてほしかった。水川あさみはパート1より出演シーンが少なくて物足りないと思ったら来週始まる『おいしいごはん』と木曜九時十時台掛け持ちだったのか。

左遷されて病院を変わる第二話の展開には無理がありましたが、変わってしまえば再建話に集中できそう。難手術までもっていけばおもしろくなるのは間違いないだけに、ストーリーが無理なくそこまでつないでくれれば盛り上がりそうです。

『ガリレオ』現代に蘇った怪奇大作戦

事前にどういうドラマになるのか見えにくかったのですが、見るとすぐにわかりました。これは現代に甦った『怪奇大作戦』です。『怪奇大作戦』は39年前、円谷プロが『ウルトラセブン』の後番組として制作したSFXドラマ。怪獣や宇宙人を敵としたウルトラシリーズに対して、ホントに恐ろしいのは人間だとしたのが特徴です。超常現象にみえる事件を科学的に捜査し、真相は欲望や社会の歪みなどを原因とした人間の悪意が科学技術により増幅されたものだとした『怪奇大作戦』のテーマ、『ガリレオ』の第一話と今の世の中にそのまま当てはまります。
今年、NHK+円谷プロで『怪奇大作戦セカンドファイル』が放送されましたが、実相寺明雄監督色が強くちょっとわかりにくかった。『ガリレオ』の方が現代的にブラッシュアップされおもしろくなってます。

また「人間に興味がない古畑任三郎」ともいえます。『古畑』は犯人にひたすら食い下がっていたけど、『ガリレオ』の湯川は現場にいっても人間とはあまり関わろうとはしない。
ものすごく実験がこっているのが特徴ですが、ドラマの最後に「危険を伴う可能性がありますので、絶対にまねをしないで下さい」のテロップが。「でんじろう」か!

『モップガール』タイムリープが大流行

米ドラマ『トゥール・コーリング』に設定が似ている、という意見がありますがそこに目をつぶればおもしろい。前半を見ると細かい疑問点や違和感があるけど、一日前にタイムリープした後半でちゃんと伏線として処理され、真相はしみじみしたともので後味もさわやか。

美形な北川景子がドジなヒロインを演じるために変な顔をしながら走り回っているのが楽しめます。演技力はともかくとしてがんばっていることは間違いありません。服がほとんどスーツと清掃用の作業着だったので私服もサービスで見せてほしいですね。
ドジな一方でかつて自殺しようとしたの自分をひきとめてくれた恩師(小倉久寛)が銀行強盗をしようとするのを「(先生のおかげで)わたしはわたしなりにやっていけばいいかなって、だから先生も自分のことをくだらないなんていわないでください」と説得するところなどしみじみ、先生が死ぬのを防いで後味もさわやか。

ところでヒロイン、毎回死ぬはずだった人を救って、自分の葬儀会社の仕事を減らすのか?

過去に戻って問題を解決するパターンは同じテレビ朝日系『仮面ライダー電王』とも同じだったけど主人公がとんでもなく運が悪いことまで一緒でした。『プロポーズ大作戦』もそうだったけど、今年タイムリープをしているドラマの元は昨年のアニメ版『時をかける少女』が名作だったからでしょう。

『歌姫』高知アイドルは丸顔

なんか一回見ただけではイマイチどういうドラマかピンとこなかったのでもう見直してようやくわかりました。「映画館の一家に助けられた記憶喪失の主人公が映画館を狙う暴力団に立ち向かう」というのは往年の日活アクションのパターンが核になっているんですね。上映していた映画は『嵐をよぶ男』だし。

『弟』で石原慎太郎だった長瀬智也、「喧嘩っ早くてお調子者」キャラは得意パターンで好演。相手役の相武紗季も昭和の匂いがしていい。方言(土佐弁)というのもかわいさを強調してます。丸顔なのも高知ぽい(高見知佳、島崎和歌子、広末涼子と高知出身アイドルは丸顔が多い)。

ただ現代から昭和三十年代を振り返る構成でちょっとわかりにくにいし、主人公の反撃を第一話で描かずに来週に続くのは連ドラの第一話としての盛り上がりがイマイチ。もっと「日活アクションパターン」であることをわかりやすくして、主人公二人の関係に集中させてほしいところです。

松島鯖子(それにしても鯖子って……)役の斉藤由貴は、友近のコントみたい。磯山晶Pの『吾輩は主婦である』の主演だった流れだろうけど、思い切ったな。

『働きマン』は「男スイッチが入ると3倍の早さになる」って宇宙刑事か!

原作コミックはのストーリーはしっかりしているだけに恋と仕事の両立に悩む働く女性のお仕事ドラマとしては普通におもしろい。しかしそんなドラマは10年以上前からあるよくあるパターン。

『ハケンの品格』をヒットさせた枠としての世間の期待はもっと極端な設定でデフォルメし、「ありえない〜」とツッコミを入れさせながら仕事の現実を描き出すもののはず。
イメージとしては通常モードは普通の女性で仕事に苦労しているけど、仕事スイッチオンになると二重人格かと思われるほどに男前キャラに変身し、仕事をバッタバッタと片付けまくるようなのが『働きマン』では?
仕事を高速でこなすだけでは元ネタのウルトラマンじゃなくサイボーグ009の「加速装置」。加速装置ならばもっと冗談みたいに速く仕事を片付けて欲しい。

等身大ヒロインを得意とする菅野美穂は仕事と恋に悩む普通の女性はいいけど、男前キャラには向いてませんね。

初回ゲストの夏木マリは「夏、決まり」だけど秋になっても決まってるなやっぱし。

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