ウリは脚本が「ワーナー・ブラザース映画ライターズワークショップ」というアメリカンスタイルの集団体制であるということ。複数の脚本家がシーン毎に脚本を持ち寄りおもしろい部分を集めてまとめあげるシステムで、これにより予測不能でスピード感のあるミステリーにしようというもの。
始まる前から思ってたけど、見てもやっぱりアメリカンスタイルというよりは『魔王』の延長戦という感じで予測不能でスピード感があるというようには見えません。
それに超科学的設定が金曜ドラマという枠にまだなじんでいません。深夜ドラマであるとか変身ヒーローの流れで東映制作だとか、プライムタイムのドラマでも日本テレビ土9枠ならしっくりいくと思うのですが。
初回はメインの三人中心ではなしが展開して序章という感じなので二〜三話で周辺人物を巻き込んでウリの「予測不能のスピード感」を出せるかどうかがポイントでしょうか。
それから脚本の表記もホームページでは「ワーナー・ブラザース映画ライターズワークショップ」でしたがエンドクレジットでは「小林雄次、青木万央」と個人名でした。シナリオ作家教会が映画『アマルフィ』で脚本家名がないとクレームをつけたというニュースがあったので、似たような関係ですかね。それともワークショップ参加者の実績として持ち回りで個人名をだした方がキャリア的にいいという配慮でしょうか。小林雄次は『牙狼』のメインライターなどSFX系の作品が多いのでたぶん全体のまとめ役なんでしょうね。
『ブザー・ビート〜崖っぷちのヒーロー〜』もはや恋愛ドラマの時代ではないのか
『東京ラブストーリー』『ロングバケーション』の永山耕三のメイン演出だけに王道恋愛ドラマを現代に翻案してみました、という感じです。
上矢直輝(山下智久)と白河莉子(北川景子)の距離の近づき方が微妙なところがいい。第一話のラストで出会い、第二話の冒頭では名前もしらないまましゃべり、ラストでようやく名前まで知るというじわじわしたスピードと進行しています。
直輝の聞き上手とか莉子と海老名麻衣(貫地谷しほり)のガールズトークの自然な展開も魅力です。
七海菜月(相武紗季)の「大人」なキャラも話題ですけど、ちょっとあからさまにやさぐれすぎているんじゃないでしょうか。女性にはわかるけど男性はきづくかきづかないかぐらいの打算的キャラぐらいがちょうどいいんじゃないかと。上矢家でも母(真矢みき)はきずかないけど、妹(大政絢)は本能的に嫌っているぐらい。まあ『東ラブ』の関口さとみ(有森也実)を現代に翻案するとこんな感じになるんでしょうか。
ドラマ的に問題があるとしたらはんにゃ金田の存在ですかね。役としてたいしたことないのに金田が目立つので気になります。相方の川島の方はとけこんで問題ないんですが。
しかし恋愛ドラマの月9だというのに視聴率はさえません。男の裸サービスとかがんばっているのに。初回15で今回が13。前作の『婚カツ!』が低迷していたとか、長年前後で引っ張り合ってきた『スマスマ』も往事の勢いがないということもあるでしょうが、それにしても低い。
もはや恋愛ドラマだからが好まれる時代ではなくなった、ということでしょうね。このあたりの潮目の変化については意見があるんですけど、また別の機会にまとめようと思ってます。
今の暴力団はいかんけど、昔の「弱きを助け強きをくじく」任侠道はすばらしいんだ、といいたいんでしょう。しかしどうも今の暴力団も経済追求なところを除けばいいんだ、といっているような気がしてのれません。
『ごくせん』の任侠集団・大江戸組は完全に冗談としてわかる、や『マイ☆ボス マイ☆ヒーロー』の関東鋭牙会もなんとかOKでしょう。しかし『任侠ヘルパー』の隼会は冗談ですますにはちょっとリアルすぎます。
どうしたらよかったのか?いい考えを思いつきました。小林信彦の『唐獅子株式会社』のドラマ化権を獲得してくればよかったんだ。『唐獅子株式会社』は広域暴力団の大親分が組織の近代化を考え、さらに妙に流行に弱かったため、社内報作りに始まりテレビ番組、映画制作、音楽祭に進出、その指示に泣く子も黙る「不死身の哲」をはじめ傘下の二階堂組が振り回されるという傑作パロディ小説。
1980年前後のパロディだと今見ると古いので、現代的に翻案すると『唐獅子介護ヘルパー』になります、ということにすればよかったんでしょうか。
思うにこのパターン、オリジナル作ではちょっとつらい。前二者も原作付きだし、『セーラー服と機関銃』はおなじみ、浅田次郎の『プリズンホテル』もドラマ化されたことがあります。やっぱり原作付きにすべきだったんような。
『唐獅子株式会社』の大親分の組は「須磨組」となんだから草なぎ剛主演作としてはあつらえたようにピッタリだと思うんですが。
パパが適齢期の娘を病的に心配するというパターン、最近では時任三郎で『花嫁とパパ』、かなり前では大地康雄で『お父さんは心配症』などありましたが、あまりおもしろくなりませんでした。
しかし『ダンディ・ダディ?』をみてわかりました。今までのはひねりが足りなかったからいけなかったということが。
このドラマの場合は「娘が心配」ということをストレートに出さず、恋愛小説家として恋愛に開けた思想を持っていると自他共に認めながら、自分の娘は別でありかつ自分の矛盾がよくわかっている、という設定がかなりおかしい。
そして館ひろしが矛盾を持った自分に対する「恥じらい」をうまく表現している。『パパとムスメの7日間』の女子高生演技で開眼したんですかね?
脚本の永田優子は前作『歌のおにいさん』に続いて意外な拾いものを書いて評価アップです。
もうともかく中山優馬ありきのドラマですね。そこを認めないとまったく入っていけない。
企画としては『トワイライト〜初恋〜』のいただきだし、ストーリーも主人公に魅力があることが前提に展開される。
ヒロインの加藤ローサは女教師ファッションはいけてないし「やっぱり若い方がいいのかな」といわれるなどさんざん。NHK『ふたつのスピカ』では女生徒メインの桜庭ななみはもとより素朴キャラにしても見せ場がない。近藤真彦も太陽の光に弱いヴァンパイアにしては健康的すぎる。同じジャニーズの大先輩にしても東山紀之ならあうと思いますが。
『バッテリー』の主演では眼力がたしかに強いなーという感想ぐらいしかない男にはとてもじゃないけどついていけません。世の多くの人もそうじゃないか?もうちょっとだれでも入っていけるドラマじゃないと人気も広がらないと思いますが。
個々のパーツを見るとおもしろそうなのに、全体を見るとそうでもない。
主演の大泉洋演じる石原参太朗はいかにも地の大泉洋という感じのキャラだし、小林聡美は『光とともに……』の先生役につらなるキャラで手慣れている。上川隆也はなんでもできるし、香椎由宇もおなじみの鉄仮面キャラだ。それに美少年系の神木隆之介にガキ大将系の須賀健太の(元)子役のツートップ共演。うまくいかせばおもしろいのにキャラが集まっているのに、どうもかみあっていない。子どもの病気にまつわる問題を「笑い」で解決しようとしているけどそれがうまく笑わせられない、というストーリーを地でいっている。
なにが問題なのかを考えると、やっぱ脚本じゃないですかね。演劇の方では評価されている土田英生だけど、テレビドラマを見ておもしろいと思ったことがありません。初めての連ドラメイン脚本の『天才柳沢教授』はさっぱりわからない、単発の『Happy!』も同じ。大泉洋の深夜だけど初主演の『おかしなふたり』はピンとこなかったし、『東京タワー〜オカンとボクと、時々オトン』は原作の力かそれなり。『斎藤さん』はヒットしたけど個人的にはおもしろさのポイントがわからなかったし『ロス:タイム:ライフ』伊藤淳史の新人マンガ家編はおもしかったかつまらなかったか忘れた……
微妙にかみあわないところが修正できればよくなるような気もしますが、今のままだと冒頭のゆうた・きいた(まえだまえだ)のマンザイが一番おもしろい、ということになるかも。
映像的にいままでの日曜劇場にはない、再現セット・CG入り乱れスペシャルドラマ的に気合いが入っています。
ただ実在の人間をモデルにした純粋なフィクションでない場合はドラマだけをみた内容では割り切れないものがあります。
城山三郎の原作からして、国民車構想で日本の自動車業界が発展したわけではない、むしろ自由競争だからこそ成功し、通産省が保護した産業は結局は衰退している、など批判があります。
さらにテレビだからか連ドラだからかそれともTBSだからかアケボノ自動車のエピソードなどかなり尾ひれをつけてます(アケボノ自動車はなんとなくホンダ的だけど本田宗一郎は通産省の政策に批判的だったし、開発した車はイメージはスバル360なんだろうけどスバルは「国民車構想」にそって開発したわけではないといってます)。
なぜこういうドラマをつくったのか?
たぶんプロジェクトX的なドラマがつくりたかったんだと思います。TBSはおじさんたちの『ROOKIES』だといってます。しかし日曜劇場には花王、トヨタ、アサヒビールと名だたるナショナルスポンサーがついている。これらスポンサーをモデルにすると癒着だし、関係しない業界というと以前はスポンサーについていたけど抜けた東芝の電機業界だけどそれもとりあげるのもなんだ。官僚メインでいけば丸く収まるというところでしょうか。
公的資金を金融機関以外、まずエルピーダメモリーに投入されたこの時期にこういうドラマをみるといろいろと勘ぐりたくなります。もうちょっと素直に楽しめる素材はなかったんでしょうか。
クレーム処理をテーマにしたドラマは単発ものでベストセラー実録ものを原作にした『社長をだせ!』と『となりのクレーマー』が思い出されます。『社長をだせ!〜実録・クレーマーとの死闘を制した女』は主人公を女性(鈴木京香)に変更、岩松了の脚本・演出でヒロインがだんだん精神的に煮詰まっていくのが、『となりのクレーマー』は主人公の筧利夫があくまで真摯に対応していく様子が双方ともおもしろかったです。
この二作の印象からクレーム処理をリアルにあつかっていくのかと思ったらクレームの相手が立てこもり事件をおこしかつ出て行った妻が同じ高枝切りばさみを注文していたという、デフォルメした展開でした。
たしかにクレームを正面から扱うとかなりきつい展開になるでしょう。単発なら一回ですみますが、連ドラだと毎回繰り返さないといけない。『モンスターペアレント』は学校版クレーマーもので、たしかに毎回すっきりしない終わり方で連ドラとしてはなかなか難しいものがありました。
『ハケンの品格』の中園ミホ脚本だし、よく似たオーバーな雰囲気にしたんでしょうけど、やっぱりなんか違います。『ハケンの品格』も派遣の現実をオーバーに描きすぎたという批判がありましたが、あれは「現実に苦しんでいる人が見ても楽しめない」という理由で納得できますけど、こちらはスタッフの方が逃げてるように思えます。クレームというのもの難しさから逃げずに真正面からあつかってほしかったですね。轟沈するかもしれないけど、うまくいけば傑作になれるはずです。
スタッフロールを見て、原案として『カバチタレ!』『不機嫌なジーン』などを制作した元フジテレビプロデューサー山口雅俊が加わっていることに気がつきました。だからヒロインがミムラなのか(『ビギナー』のオーディションでいきなり女優デビューが月9主演となった)。でもTBSで同じようにかかわった『エジソンの母』ほど山口カラーではありませんね。中園色の方が強い。
『渡る世間』はシリーズが始まる時に見て、一回見るとおなかいっぱいになり数ヶ月後にまた見て……と個人的に一年の放送中で何話もみないんですが、『となりの芝生』もやっぱりおなかいっぱい。それは悪いことではなく、ぼくがすっと見れるような橋田ドラマは世間的にあんまり盛り上がってない、そこがポイントなんでしょう。
しかし思い起こすとオリジナル、76年のNHK銀河テレビ小説で放送された時には全話みたよなー、橋田パターンの最初だからめずらしかったからか?
よく考えると放送形態に原因があったようです。銀河テレビ小説の放送形態は『ニュースセンター9時』が9時40分まであり、その後10時までの20分を月〜金で。20分という時間がおなかいっぱいになる前に終わってよかったんでしょう。橋田脚本の朝ドラ『女は度胸』や『春よ、来い』も全部みれました。
『となりの芝生』は初回視聴率は11%台と『渡る世間』と比べると不満の残る数字。初回から2時間SPは重たすぎるということもあると思います。『渡る世間』だと登場人物が多くて場面展開しますが、『となりの芝生』はほとんど一つの家庭に絞り込まれていますから。
収録スケジュールの都合か最近TBSがよくやるいろいろ番組に泉ピン子がでてきての番宣が少なかったということもあるでしょうけど。
タイトルナレーションが『スケバン刑事II』のエージェント・西巻役だった蟹江敬三だったことからもこのドラマの狙いは明らか。セーラー服の『スケバン刑事』に対してこちらはメイドなんですけど、どうも「萌え」ませんね。問題はメイド服があまりにも正当派英国風なこと。京都府警本部長邸ならそれもいいだろうけど、最初に殺されてメイドのスカートがかなり短かったのに潜入するときには正当派英国風になっているのは整合性がとれていません。
『スケバン刑事』が成功したのは時代劇やヒーローものなど勧善懲悪を得意とする東映とおにゃんこクラブをヒットさせるなどアイドルものが得意な当時のフジテレビの絶妙のコンビネーションでした。
『メイド刑事』は東映制作は同じで、テレビ朝日もかつての「月曜ドラマイン」などアイドルドラマは得意だったはず。ただ、今回はオスカープロが上戸彩の次に期待する福田沙紀主演のため「露出を抑えろ」とか暗にいわれましたかね−。もうちょっと捨て身ではじけていかないとこういうのはおもしろくなりません。
福田沙紀、『ライフ』のイジメ役はなかなかいけてたので、メイドよりはツンデレキャラの方があっているような。
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