主人公の高木修一(西島秀俊)は人の足を引っぱるのが専門で仕事ができるかどうかは描いてないし、対して恋人でライバルの花野郁子(紺野まひる)が「できる」として描かれるのはシステムダウンをすばやく回復させたエピソード。管理職としてというより専門職としてはできるという描き方ですね。
上司に裏切られて倉庫係に左遷(足を引っぱるしかできないのなら当然である)されるのがドラマにおける三大左遷先の一つ、倉庫係というのもありきたりです。ちなみに後の二つは社史編纂室と庶務係。
冷凍庫に閉じ込められるのを防ぐために本社時代の高木がつくったのがチェックシート一枚というエピソードも非現実的。対策を考えるのは現場でしょう。本社が対策のための予算を認めないからチェックシートだけというのならわからんでもないですが。
さらに本社に戻る条件が「リストラ候補を一人選べ」というのも楽すぎ。「一人退職に追い込め」というのならわからんでもないですが。
かろうじて会社で価値をもらった三回目が「お前はそこに必要だという証し」だという田端加代子(もたいまさこ)だけにはリアリティを感じますね。
だからそこからつながるオチの面談エピソードは悪くありません。全体を見てエピソード盛り込みすぎで後半バタバタ感があったので、高木が左遷されるまでをもっとコンパクトにして後半をメインにした方がいいような。
シナリオ賞はストーリーのおもしろさよりもいいセリフが書けるかどうかがポイントらしいですが、個々のエピソードにリアリティが欠けるから「変えようぜ、そんな(会社の)古い体質。オレ達の時代で」という決めぜりふもすべってます。
それでもこういう素材にチャレンジするというのは悪くありません。今後の作品に期待しましょう。
